HOME > 抽出技術

抽出技術

抽出技術

超臨界抽出技術の概況

超臨界二酸化炭素抽出技術は、約30年前より食品分野においてホップエキスやフレーバーなどの抽出やコーヒー豆からの脱カフェイン抽出など不要成分の除去などを対象に工業利用されており、超臨界流体利用技術の工業化の原点です。
最近では、機能性食品素材を対象とした安全・安心な抽出溶媒としての期待が高まっています。

食品素材への超臨界二酸化炭素抽出の適用

参考文献:福里隆一・後藤元信,実用超臨界流体技術,分離技術会24(2012)

超臨界抽出技術の特徴

超臨界抽出技術の特徴は、以下の通りです。

  • 工業的利用は食品、医薬品分野が中心(安全、安心な溶媒)
  • 従来法(溶媒抽出法)に対して、煩雑な溶媒除去操作が不要
    ⇒溶媒通出法では、溶媒除去操作での製品歩留の低下、製品品質劣化等あり
  • 製品への残留溶媒問題回避
    ⇒脱有機溶媒

超臨界抽出事例①

参考文献:福里隆一・後藤元信,実用超臨界流体技術,分離技術会39(2012)

超臨界抽出事例②

参考文献:福里隆一・後藤元信,実用超臨界流体技術,分離技術会40(2012)

超臨界抽出事例③

参考文献:福里隆一・後藤元信,実用超臨界流体技術,分離技術会40(2012)

超臨界二酸化炭素抽出技術の基礎

超臨界二酸化炭素抽出分離は、固体、あるいは液体から目的物質(成分)を超臨界流体を溶媒として使用する抽出分離法であり、天然志向、脱有機溶媒プロセス、環境負荷低減プロセスの観点から注目されています。
超臨界流体抽出技術の実用化に向けた重要検討事項は、以下のとおりです。

  • 被抽出物の超臨界流体への溶解度
  • 助溶媒であるエントレーナ(超臨界流体のみでは抽出が不十分な場合に用いる)の効果
  • 抽出操作条件(温度、圧力、溶媒流速、原料含水率、原料形状など)の最適化
  • 抽出過程の速度解析
  • 抽出装置の最適化(プロセス設計)

固体からの抽出に用いる実験装置の例

適当な大きさに調整した試料を抽出容器に充填し、必要圧に昇圧したCO2を所定速度で容器内に流通させ、次いで減圧して抽出物を回収します。

液体からの多成分分離抽出に用いる向流抽出装置の例

超臨界流体(特に高圧流体)により抽出した液体等多成分系液体を抽出塔上部から供給し、超臨界二酸化炭素を抽出塔下部から供給し、これらを向流接触させることで、溶解度の違いにより目的成分を分離抽出します。
本例は、米糠から高圧抽出した液体を分離する際の事例を示しています。

超臨界二酸化炭素抽出条件の高圧化

近年、従来では助溶媒を用いないと溶解しない天然成分についても、高圧化することで溶解させることができることが見出されてきています。助溶媒を不要とすることにより、後処理工程が不要となり、製品純度が向上することが期待されます。
また、高圧にすることにより抽出速度が大きくなり、生産性の向上にも寄与することからコストダウンも期待されています。
これまでは30MPa程度の超臨界二酸化炭素による抽出が主流でしたが、各種研究により、高圧化することにより新規物質の抽出と生産性の向上が図れることから注目されつつあり、100MPa前後での抽出が可能な設備も開発されてきています。
適用事例としては、香料、精油、スパイス、ハーブなどがあります。

超臨界二酸化炭素技術の動向

抽出条件の高圧化により極性の比較的高い高分子脂質分の抽出が高品質・低コストで可能となることから、高圧系での抽出技術の開発が求められています。

参考文献:福里隆一・後藤元信,実用超臨界流体技術,分離技術会29(2012)

高圧化による溶解度向上の事例(ピペリン)

スパイス類の構成物質であり、分子量が大きく、かつ極性を有するピペリンの場合、二酸化炭素への溶解度は、
40℃、30MPa ⇒ 0.8g/kg-CO2
80℃、60MPa ⇒ 6g/kg-CO2
と飛躍的に増大しています。

参考文献:E.Stahl, “Dense Gases for Extraction and Refining”, Springer-Verlag,153(1988)

従来法と高圧抽出法との比較

項目 溶媒抽出法 従来型超臨界二酸化炭素抽出法 高圧超臨界二酸化炭素抽出法
抽出操作 ・ヘキサン抽出:低圧二酸化炭素抽出と収率はほぼ同じ
・収率向上のために各種有機溶媒を選定
・ナツメグ種子の抽出率:約16%
・ピペリンの溶解度:0.8g/kg
・クルクミン(ターメリックの主要成分、オレオレジンは色素)は殆ど溶解しない
・ナツメグ種子の抽出率:約27%
・ピペリンの溶解度:6g/kg
クルクミンの抽出率:5~12%
抽出率の飛躍的な向上
分離操作 (溶媒除去操作)
・抽出物からの残留溶媒除去(蒸留法)↓
・低沸点成分(低分子量物質)の蒸発損失→低下
・抽出物の熱変性の恐れ
・抽出物中への溶媒残留の懸念(食品、医療分野での残留溶媒規制クリアへの課題)
・左記、溶媒除去操作での課題克服 (二段分離操作)※
・高圧分離(15MPa、50℃)オレオレジン回収
・低圧分離(6MPa、50℃)精油回収
・オレオレジン、精油双方の回収が可能
・精油成分が高品質

参考文献:福里隆一・後藤元信,実用超臨界流体技術,分離技術会30(2012)

※二段分離操作:高圧状態から圧力を下げる際に、段階的に下げることにより抽出成分を分離する操作です。これにより、複数の目的成分の製品化が可能となります。

参考文献:福里隆一・後藤元信,実用超臨界流体技術,分離技術会30(2012)

高温高圧水による抽出

高温高圧水の特徴

高温高圧水には下記の特徴があります。

  1. 誘電率
    常温常圧の水の誘電率は約80であり、したがって極性が高く、有機物質を溶解しない。
    ⇒高温高圧水では2~30程度の値となり、ヘキサン(1.8)やメタノール(32.6)などの有機溶媒に相当する
    ⇒高温高圧とすることで水が油のような性質となり有機物質を溶解する
  2. イオン積
    常温常圧の水のイオン積は10-14(mol/l)2
    ⇒高温高圧水では10-11~10-13(mol/l)2 程度となり、常温常圧水の10~100倍のイオン解離がある
    ⇒水自体に酸・アルカリ触媒作用が付与され、エーテル結合等が加水分解される

高温高圧水による抽出

高圧の超臨界二酸化炭素抽出においても抽出できない、高い極性をもつ溶剤に可溶な成分の抽出に適しています。

超臨界二酸化炭素と高温高圧水の抽出対象物質

高圧超臨界二酸化炭素抽出と高温高圧水抽出を組み合わせることにより、ほぼ全極性範囲での物質抽出が可能となります。

参考文献:福里隆一・後藤元信,実用超臨界流体技術,分離技術会55(2012)

超臨界流体活用技術のお問い合わせはこちら

お問い合わせ

  • 超臨界技術について
  • 抽出技術
  • デカフェ技術
  • 業務案内
  • 設備案内
  • 共同研究者の紹介
  • 会社概要
  • 採用情報
  • KECグループ